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ある晩 流星と衝突した

.28 2009 comment(0) trackback(0)
稲垣足穂の「一千一秒物語」を買った。
まだ途中までしか読んでないのだけど、とても良い。
一つ一つの物語が、硬質で、透き通っていて、水晶のような、硝子のような。
青い夜、靄のかかった夜、冷たい夜、静かな夜・・・
そんなものも思い起こす。
宇宙的なものも思う。
鉱物の冷たいきらめきも思い出す。
そういう、文章。

稲垣足穂(1900~1977)
「一千一秒物語」は1923年に出版されたもの。
まだ戦前。
でも、時間というものを全く感じさせない、なんともモダンでシュルレアリスティック、抽象的な美しい作品。
こういうものは初めて読んだけれど、すごく好きだ。
こんなことがいつかあったような・・・という気にさせられる。


特に気に入ったものを幾つか。


「霧にだまされた話」
白い霧が降っている真夜中頃 ガスの目の下を通って小路にはいると 広いアスファルトの路があった 両側のショーウィンドウには昼のように電燈やガス燈がともって きれいな帽子や衣裳類が輝いていたが たれ一人の姿もない そのくせそこいらのガラス戸のギーと開閉する音や ザワザワと群集が混雑している声がするのである 通りすがりに広々とした店の中をのぞくと 奥の階段の方で なにか陽炎みたいなものが忙しくこみ合っていた 気味がわるくなって二三丁のあいだ一生懸命に駆けた と思ったらいつのまにか小路を抜けて 見覚えのある黒い家のガランとした石段の上に電燈がふるえているのを見た・・・


「自分を落してしまった話」
昨夜 メトロポリタンの前で電車からとび下りたはずみに 自分を落してしまった ムーヴィのビラのまえでタバコに火をつけたのも――かどを曲ってきた電車にとび乗ったのも――窓からキラキラした灯と群集とを見たのも――むかい側に腰かけていたレディの香水の匂いも みんなハッキリ頭に残っているのだが 電車をとび下りて気がつくと 自分がいなくなっていた



本当に素敵。
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Das Tor der Kirche

.26 2009 服・小物 comment(0) trackback(0)
Moi meme Moitie チャーチゲートプリントシリーズ
スカートの方も写真撮ったので、ついでに。

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白×黒もやっぱり可愛い!
スカートも編み上げ付きでハイウエスト。

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裾のケミカルレース、黒サンドレスとは違うものを使っている。
白と黒で違うのか、サンドレスとスカートで違うのかわからないけど。
こちらの方が小さめの薔薇柄。

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La porte de l'eglise

.25 2009 服・小物 comment(0) trackback(0)
Moi meme Moitieのチャーチゲートサンドレス。

やっぱり黒良い!

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胸元編み上げ。
ケミカルレースにサテンリボンが通してある。
胸元の共布フリルの下にも、ブレードが付いている。

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裾にもケミカルレース。
薔薇柄で可愛い。

そしてプリント。

033_convert_20090625225119.jpg


「私の美の世界」

.11 2009 comment(0) trackback(0)
森茉莉さんが、大好き。
特に一番好きなのが、「私の美の世界」。

森茉莉(1903~1987)
かの森鴎外の娘で、鴎外の溺愛を受けて成長した永遠の少女。
茉莉さんが紡ぎだす言葉はどれも美しくて、小説も大好きだけど、特にエッセイが素晴らしい。
彼女のありとあらゆる方面への美へのこだわり、美学や流儀といったものが彼女独特の方法で語られて、本当に茉莉さんだけの世界が出来上がっている。

自意識過剰で、自信過剰。
好きなものは大好きだけど、そうじゃないもの、自分の感覚に合わないものは徹底的に批判する。
いつまで経っても少女。悪く言えば幼稚・・・?
我儘で、癇癪持ち。
気分屋。
いつもぼ~っとしている(ように見えるらしい)。
フランスかぶれ。
食いしん坊。
と・・・
こんな風に思いつく限り、茉莉さんについて列挙してみると、何だか結構嫌なやつなんだけどw、そうじゃなくて、それが全部良い風に生きているのが茉莉さん。
というか、最早これこそが茉莉さんの良さである、と言えてしまう。
本当に凄い人だ。



「私の美の世界」では、衣・食・住の様々なことについて語られている。

まず、初めは食について。
私自身も、本を読んでいると必ず食事のシーンが気になってしまうので、茉莉さんの気持ちはわかるのだけど・・・
茉莉さんは卵、紅茶、麺麭(茉莉さんについて語るのなら、”パン”は必ずこう変換しなければならない)、などなど、口に入るものにも全てにこだわりがあるのだけど、この章で特に好きなのが、ビスケットについて書いてあるところ。

ちょっと抜粋。
「ビスケットには固さと、軽さと、適度の薄さが、絶対に必要であって、また、噛むとカッチリ固いくせに脆く、細かな雲母状の粉が散って、胸や膝にこぼれるようでなくてはならない。
そうして、味は、上等の粉の味の中に、牛乳と牛酪の香いが仄かに漂わなくてはいけない。
また彫刻のように彫られている羅馬字や、ポツポツの穴が、規則正しく整然と並んでいて、いささかの乱れもなく、ポツポツの穴は深く、綺麗に、カッキリ開いていなくてはならないのである。
この条件のどれ一つ欠けていても、言語道断であって、ビスケットと言われる資格はない。」

こんなにビスケットについて真面目に語る人は、今までもそしてこれからも、ただ一人として出ないと思う!
それぐらい凄い・・・と思うし、個人的にここの部分は、この本の中で一番好きかもしれない。
これを書くの、とても楽しかったんじゃないかな、と思ったり。

これを読んでから、茉莉さんのお眼鏡に適いそうな「ビスケット」を探しているけれど、なかなか見つけられず。
一番近くて、森永のマリービスケット?
どうやら、高価すぎるものだと、また「牛酪が多すぎたり、甘すぎたり、色は濃過ぎ、妙に気取って形も様々で、それにビスケットというよりデセエルに近い。」と気に入らないようなので、難しい。


そして、身の周りのものの話。
彼女の美的感覚を表すものとして、よく色の話題が出てくる。
それもすごく好き。
想像するだけでも、美しい色の数々。

例えば、
「昔見た伊太利の空、ボッティッチェリの「春」の画面にある空、女神の羅の微かなオリーブ色、同じく「ヴィーナスの誕生」の海の薄い透明な緑、その画面に散っていた花々、明るい空の下の、澱み腐敗したような運河の鈍い緑。
又はシンガポオルやペナンの明るい透った海の薄緑、アマルフィの海岸の檸檬の黄色、僧院を改造したレストランの、白い円柱や廻廊に落ちていた野薔薇の影の薄紫、巴里のキャフェの、フランボワアズ入りのアイスクリイムの、牛乳をまぜたような薔薇色。」

この絶妙な表現。
なんとも言えず、文章の響きだけでも恍惚とさせられる。
言葉の選び方、使い方にもかなりのこだわりがあるのが、読んでいてすぐわかる。
鴎外も相当なこだわり人間だったようだけど、茉莉さんに至っては、もうそれだけで世界が出来上がっているのだから、本当に凄い。


あとは、ヒュウマニズムについて、旧仮名遣いについて、本物の贅沢について・・・
などなど、何においても、茉莉さんと言う人は繊細で独自の美の観念を持っている。
奔放で、無邪気で、頑固な美的感覚。
それは、時代とか、もちろん流行とか、そういった周りのものに左右されることのない、確固とした概念。
それを持っている、ということは、何よりもその人自身を美しくさせる、と思う。

「私の美の世界」、是非読んでみてください。


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